2010年11月15日月曜日

過失相殺(交通事故)

被告乙山太郎(以下「被告太郎」という。)が運転する原動機付自転車(以下「被告車」という。)が、信号機による交通整理の行われていない交差点を横断歩行中の原告に衝突し、原告が受傷した後記交通事故(以下「本件交通事故」という。)につき、原告が、被告太郎に対し民法七〇九条に基づき、被告乙山次郎(以下「被告次郎」といい、被告太郎と合わせて「被告乙山ら」ともいう。)に対し自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条本文に基づく損害賠償を求めた事案の裁判例です。被告太郎は、原告が横断のため中央分離帯付近に佇立していることを認識しながら、その動静に対する注意を怠り、漫然と時速約四〇キロメートルで走行した過失により、本件交通事故を惹起したものであるから、本件交通事故による損害について、民法七〇九条に基づき損害賠償責任を負う。一方、本件交差点の南北道路は、前述のとおり東西道路に比べ、明らかに広い道路ということができ、本件交通事故当時の車両交通量も閑散であったとはいえない。また、本件交差点付近の南北道路は直線道路であって、横断歩行をしようとして同道路内に立入り、中央分離帯付近に佇立した原告からは、同道路を走行する車両の発見はごく容易であったと考えられるし、原告は、本件交通事故当時六九歳であったとはいえ、後述のとおり特に判断能力が低下していたとは認めることができない。そうすると、原告が、横断歩道の設置されていない本件交差点において、被告車を見落として南北道路を横断したという過失も軽微とはいえない。以上を総合勘案すれば、本件交通事故における被告太郎と原告との過失割合は、八対二とすることを相当と認める。
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