2009年1月23日金曜日

残業代請求

今回は、サービス残業の残業代請求に関する判例を紹介します。 

第2 事案の概要
1 本訴は,原告が,被告に対し,「原告は,美容室及び理髪店を経営する株式会社である。被告は,原告の総店長として勤務していた者であるが,平成18年3月31日に退社するに際し,原告の営業秘密に属する情報が記載された顧客カードを無断で持ち出し,不正競争防止法2条1項4号に該当する不正競争行為をして原告の顧客を奪った。また,被告は,原告を退社する前から,被告の次の勤務先の予約を取ったり,上記のとおり,顧客カードを持ち去るなどの不正競争行為を行って,転職先の理髪店の営業のためにこれを使用した。被告の上記各行為は,不法行為を構成する。被告の上記行為により,原告の同年4月以降,1年間の売上げが減少した。原告の損害は,この間の損害金376万1010円に弁護士費用1割を加算した413万7111円である。」として,不正競争行為ないし不法行為を理由とする損害賠償請求権に基づいて,損害賠償金413万7111円とこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。
 反訴は,被告が,原告に対し,同社が経営する理美容店に勤務していた際の未払給与及び時間外給与として合計225万9509円とこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。
2 争いのない事実
(1)原告は,平成元年7月26日に設立された美容室及び理髪店の経営その他これに付帯する一切の業務を目的とする株式会社である。
 被告は,原告に同8年4月1日に入社し,同18年3月31日に退社したが,当時,原告の総店長の地位にあり,同17年4月に開店した店舗である「ripl+」店(リプル店)において理髪及び美容(理美容)の業務に従事していた。
 同16年3月当時の被告の基本給は月額43万4000円であった。
(2)原告は,その経営する店舗において,顧客カードを作成し,その管理を行っているところ,その表面には顧客自ら氏名,住所,電話番号,メールアドレス,職業,出身地を記載する欄があり,その裏面には,顧客の来店日,整髪等の内容,育毛剤使用の有無,料金,担当者等の顧客に関する情報が記載されている。顧客カードの中には,「ヘア&スキャルプチェックシート」が付されているものもあり,これには顧客の毛髪について,「パサつく」「ダメージがかなり気になる」「根本から細くなっている」,「抜け毛が気になる」,「脂っぽい」,「かゆみがある」,「赤みや傷がある」,「敏感肌」等,頭髪や頭皮の状況についての情報が記載されている。
 リプル店においては,上記顧客カードをカウンターの裏に保管していた。
(3)被告は,平成18年3月下旬ころ,リプル店に保管されていた顧客カード約200ないし300枚を店外に持ち出した。
 被告は,同年4月1日以降,リプル店から250メートル程の所に位置する有限会社マイ・キャップ・ピノキオ店(ピノキオ店)において理美容業務を行うようになったが,原告を退社する前から,リプル店において,顧客からピノキオ店での理美容の予約を受け付けており,同日以降,リプル店の顧客がピノキオ店において理美容を受けることがあった。
(4)被告は,平成16年2月ころ,原告から,業績が芳しくないので減給を了承してもらいたいとの要請を受け,これに応じた。被告の同年4月以降の基本給は月額39万0600円となった。
 原告は,被告の同17年4月以降の給与を同16年3月以前の基本給額に戻さなかった(被告の給与は,同16年11月から同18年3月までの間,毎月39万0600円であった。)。
(5)被告は,原告において,原則として午前10時に出勤し,午後8時に退社していた。被告の休日は,原則として,毎週月曜日であり,月に一度は連休があった。
(6)被告は,平成16年11月以降,毎月,理美容業務を終えた後,「店長会議」と称する会議(店長会議)に出席していた。

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