2009年6月13日土曜日

残業代請求

今回は、サービス残業の残業代請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。

(5)上記のとおり,リプル店は,平成17年5月以降,被告を総店長として営業を続けていたが,その売上げは,原告作成の売上表(〈証拠略〉)によると,同年5月が188万6100円,同年6月が203万4450円,同年7月が227万6900円,同年8月が186万8800円,同年9月が169万2450円,同年10月が210万9400円,同年11月が157万0000円,同年12月が229万8950円,同18年1月が163万9500円,同年2月が178万0500円,同年3月が201万5000円と推移した。
(6)被告は,平成16年2月ころ,甲野から,原告の売上げが思わしくないので,基本給を減額せざるを得ないのでこれを了承してもらいたい旨言われた。その際,甲野は,売上げが回復すれば,基本給を元に戻す意向を有していたため,被告に対し,その旨を述べた。
 これに対し,被告は,甲野の上記申入れを了解し,基本給の減額に応じたため,被告の同年4月以降の基本給は月額39万0600円となった(なお,被告は,総店長であったため,他の店長の1.5倍程度の給与を得ていた。)。
 その後,被告の基本給は,上記の減額された状態で推移し,原告から基本給を元に戻す話はなかった。
(7)被告は,次第に原告の待遇に不満を持つようになり,いずれ独立したいと考えるようになっていた。
 こうして,被告は,遅くとも平成18年1月ころには,原告を退社することを決意し,同月20日ころ,甲野に対し,体調不良を理由に同年3月末日をもって原告を退社したい旨申入れ,甲野の了解を得た。
 被告は,原告を退社した後,ピノキオ店で理美容椅子1台を借りて理美容業に従事することになっていたため,リプル店において,被告が担当していた顧客に対し,リプル店を辞める旨の説明をし,名刺を配布したり,電話やメールで同年4月以降の日のピノキオ店の予約を受け,リプル店のカレンダーに予約内容を備忘的に記載していた。
 そして,同年3月下旬ころ,被告は,顧客の荷物置場に保管していた被告担当の顧客カード約200ないし300枚を店外に持ち出した。
 Bは,被告が顧客カードを持ち出したことを知り,これに疑問を持ったが,その際,被告に上記持ち出しを制したり,事後に,甲野に上記事情を報告することもなかった。
(8)被告は,平成18年4月1日以降,リプル店から250メートル程の所に位置するピノキオ店において,理美容椅子1台を借りて,理美容業務に従事するようになり,既にリプル店において予約を取っていた顧客にも理美容を行った。また,被告は,リプル店の顧客であった者を自家用車でピノキオ店に送迎することもあった。
 同年4月以降,ピノキオ店において被告の理美容を受けた顧客は,従前,リプル店において被告から理美容を受けていた者がほとんどであった。被告は,このようなリプル店の元顧客から,同年4月1日から同月24日までの間(営業日は合計17日),に少なくとも38万7500円を売り上げていた。)。
 原告作成の売上表(〈証拠略〉)には,被告が原告を退社した後のリプル店の売上げは,同年4月が137万8000円,同年5月が124万1500円,同年6月が131万1700円,同年7月が164万9250円,同年8月が199万2400円,同年9月が199万5600円,同年10月が201万5600円と記載されている。
(9)その後,被告は,ピノキオ店及びリプル店に出入りしている理美容用品業者であるC商事株式会社の従業員から,顧客カードは原告に返還した方がよいのではないかとの指摘を受けたため,平成18年4月下旬ころ顧客カードをリプル店に持参してBに渡し,これを原告に返還した。
(10)その後,被告は,平成19年3月ころまでピノキオ店に勤務した後,同年4月ころ,JR横浜線○○駅付近に所在する福祉施設の理美容店に移って理美容業務に従事している。

企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料やサービス内容が異なりますので、比較することをお勧めします。その他にも、個人の方で、交通事故の示談交渉解雇敷金返還・原状回復義務借金の返済刑事事件遺言や相続などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。